自動車保険に加入するのに、車両保険に入るべきかどうかで悩み中。新車だし入っておかないと車をぶつけて修理が必要になった時のことが心配だからやっぱり入っておくべきかなあ。でも、車両保険を使うと保険料がさらに高くなるので気軽には使えないし、それなら最初から車両保険には入る必要がないって話もあるけど・・・
という、車両保険に入るかどうかでお悩みの方のそんな疑問にお答えします。
もくじ
車両保険に入る必要があるの?
車両保険は、自分の車(車両)に対する損害を補償するための保険です。
車両保険とはどんな保険?
具体的には契約した車両に対して、以下のような場合に保険金が支払われます。
- 車同士の事故で車両が壊れた
- 落書きやいたずらをされて車両が傷ついた
- 飛び石でフロントガラスにヒビが入った
- 盗難にあった
- ガードレールをこすって擦り傷やへこみができた(「一般型」のみ)
- 当て逃げされた(「一般型」のみ)
- 台風や洪水で水没、冠水した
車両保険は入ったほうがいいの?
実際にどのくらいの人が車両保険に入っているのか、具体的な数字を見てみましょう。
損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況 2017年版」によると、全登録車両の車両保険加入率は、2017年3月末で43.8%となっています。しかし、これは、バイクや営業用乗用車や貨物車なども含むためです。自家用の乗用車(小型、普通の合計)に限定すると、55%となりほぼ半数程度のドライバーが加入している計算になります。
また、車両保険の加入率は年々上昇しています。これは近年大雨や台風などの自然災害が増えていることから、万が一の備えとして考える方が増えているとみられます。
車両保険には結局入ったほうがいいのか?という問いに対しては、以下のポイントで検討してみると自分に合った回答が得られるのではないかと思います。
■市場価値が高い車か?
新車の場合は加入するメリットのほうが大きいと思います。補償額は時価換算なので、万が一の事故のときも相当額が支払われますし、ローンで購入した場合は車が廃車になっても残ってしまうローンの支払いに保険を使うこともできます。
ただ、高級車の場合でも年とともに市場価値は下がり10年もするとゼロになると言われています。したがって、車両保険の補償額も、車齢が高くなるにつれて上限が下がっていきます。保険をかけても、修理に十分な補償額が得られない古い車の場合は、入るメリットは少ないと思います。
■貯蓄が十分にあるか
保険に入る目的とは、万が一の事態が発生して、自分では一度に払えない金額の補償が必要になったときに、それより少額の保険料を払ってリスクに備えるためです。ですから、修理代を貯金で賄えるだけの貯蓄がある場合は車両保険は不要でしょう。
修理代の目安
事故で修理が必要になった場合の修理代の目安をまとめました。この金額が自費で払えるかどうか、保険でカバーされるかどうかの判断にお役立てください。
・小さな引っかき傷:1,000円程度(※タッチペンによる修理)
・えくぼ、ヘコみ:2万円~
・ドア交換:10万円~
■バンパーの修理費用
・狭い範囲での簡易補修:~1万円
・部分修理:2.5~4万円
・一本塗り:3~5万円
・バンパー交換:5~20万円
■フレームの修理費用
・ごく一部の板金修理:10~100万円
・大きな範囲の修理:100万円~全損(数万円~数百万円)
(参考:楽天保険一括見積もり 「車の部位・パーツ別の修理費用まとめ~だいたいの相場を押さえておきたい。~」)
車両保険の保険料の仕組みとは?
ここでは、車両保険の保険料の仕組みについて説明します。
保険金額はどうやって決める?
車両保険の保険金額とは、契約車両が損害を受けたときに支払われる保険金の上限額のことです。
車種や型式や年式などを考慮したうえで、車の初度登録から計算した時価によって、保険会社が設定します。私たちは保険会社が設定した範囲内であれば、金額を選ぶことができます。
保険会社の金額設定の考え方は、購入後1年未満であれば、基本的には「購入代金」に設定されます。したがって、新車購入時に加入するときは、車両本体とメーカーオプションやカーナビなどの合計金額を目安に設定してください。
一般型とエコノミー型とは?
車両保険には補償範囲によって一般型とエコノミー型の2種類があります。エコノミー型は保険会社によって「車対車+A」のようなさまざまな呼び方があります。2つの補償範囲の違いを表にすると以下のようになります。
エコノミー型 | 一般型 | |
---|---|---|
車対車の事故 | ○ | ○ |
落書き・いたずら | ○ | ○ |
盗難 | ○ | ○ |
飛来中または落下中の 物体との衝突(飛び石など) | ○ | ○ |
台風・竜巻・洪水・高潮 | ○ | ○ |
火災・爆発 | ○ | ○ |
あて逃げ | × | ○ |
転覆・墜落 | × | ○ |
自動車以外の物体との 衝突接触(自損事故など) | × | ○ |
地震、噴火、津波 | × | × |
エコノミー型の場合、保険料は一般型より安くなりますが、相手のわからない「当て逃げ」と相手のいない「自損事故(単独事故)」のときは保険金が支払われない、という点に注意が必要です。
運転技術に自信がある方でも、エコノミー型では自分では防げない当て逃げまで補償外になると思えば、エコノミー型を選ぶのはためらってしまうのではないでしょうか。
どちらを選ぶべきかは、保険をかける意味を考えると、新車の場合や傷は修理すると決めている方には一般型しか選べないと思います。エコノミー型より数万円高くなったとしても、当て逃げが補償されないというのは新車をお持ちの方には厳しいと思います。逆に、車齢が高い場合や擦り傷程度では修理しないと割り切れる方は、エコノミー型でもよいのではないでしょうか。
免責金額の決め方は?
保険料を決める要素として、もう一つ重要なのが免責金額です。免責金額は、保険を使う場合でも最低自費で負担する、という自己負担額のことです。例えば、免責金額を5万円にすれば、修理代が50万円なら5万円は自費で負担し、残りの45万円が保険金として支払われます。
免責金額の設定は「1回目」と「2回目以降」の組み合わせで決まりますが、多くの保険会社が標準的に設定するのが「1回目5万円、2回目以降10万円」というものです。
ここに、各種特約をつけていくと保険料が変化します。「免ゼロ特約」といえば、免責がゼロ、つまり自己負担額がゼロになりますが、その分保険料は高くなります。主な組み合わせは下表のとおりですが、表の下へいくほど保険料は安くなっていきます。
自己負担額 | 事故1回目の 自己負担額 | 事故2回目の 自己負担額 |
---|---|---|
0-10万円 | 0円(自己負担なし) | 10万円 |
5-10万円 (車対車免ゼロあり) | 5万円 (車対車の事故は0円 (自己負担なし)) | 10万円 |
5-10万円 (車対車免ゼロなし) | 5万円 | 10万円 |
10-10万円 | 10万円 | 10万円 |
車両保険をつけたいけど、保険料は安くしたい・・という場合は、免責設定を10-10万円にすると保険料を抑えることもできます。
この免責設定は一般型、エコノミー型どちらの場合にも設定します。とにかく保険料を抑えたい場合は、エコノミー型かつ10-10万円の組み合わせが最安な保険料になります。
車両保険を使うと保険料は上がる
交通事故、もしくは単独事故を起こして車両保険を使っても、その年の保険料が追加請求されることはありませんが、その代わりに翌年から保険料が高くなります。
車両保険を使うと、翌年から事故の種類によって等級が3等級または1等級下がります。等級が下がればその分保険料が高くなります。3等級下がってしまった場合、事故前の等級に戻るまでには事故の翌年から3年間無事故期間を続ける必要があります。
実際に車両保険を使うかどうかは、元の保険料に戻るまでに支払う保険料と、保険を使って得られる保険金を比較して、よりメリットが大きいほうを選ぶことになります。
等級と保険料について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→保険料を左右する?自動車保険の等級制度とは
自動車保険のなかでも、加入するべきかどうか一番悩むのが車両保険だと思いますが、コストと安心のどちらをとるか、ご自身で基準を決めてから検討することをおすすめします。
まとめ
- 車両保険の必要性は車の市場価値と自分の貯蓄の量のバランスの考え方によって変わります。
- 車両保険には補償範囲が限定された「エコノミー型」と補償範囲が広い「一般型」があります。
- 免責金額を高く設定すると、保険料を安く抑えることができます。