一年間自動車事故もなく、無事に自動車保険の更新の時期を迎えられてよかった。等級が一つ上がって保険料も安くなるけど、等級ってそもそもどうやって決まっているんだろう。「ノンフリート等級」の「ノンフリート」って何だろう?
という「等級」に関する疑問についてお答えします。
もくじ
等級制度の概要
自動車保険の保険料を決める大きな基準になっているのが「等級」です。
自動車保険における「等級」を決めるのは「事故歴」です。事故を起こさなければ等級が上がり、事故を起こすと等級が下がります。
等級が上がるほど事故を起こすリスクが少ないと判断されて保険料が安くなるので、事故を起こさないことが、自動車保険に入った最初の頃は保険料を安くする一番の方法です。
等級は20段階、事故を起こすと下がります
自動車保険の等級は、1~20等級までの20段階(一部の共済では、22等級までの22段階)が設定され、それぞれに割引率(1~3等級では割増率)が決められています。
初めて自動車保険と契約するときは、6等級または7等級に設定されます。
通常は6等級からのスタートですが、ご家族が車を持っていて、その車の自動車保険が11等級以上の場合は「セカンドカー割引」などと言われる割引が適用され、7等級からスタートできます。
契約してから1年間、保険を使った事故がなければ、次の年度には等級が1等級アップします。
逆に、1度でも保険を使った事故を起こすと次の年度で等級が下がります。
6等級、7等級の「S」と「F」は「新規契約」と「既契約」の違い
また、6、7等級のみ「S」と「F」の2種類(6F、6S、7F、7S)にわけられていて、「S」は新規契約をする人、「F」は既契約または前契約ありの人に適用されます。
6、7等級は、まったく新規で契約する人とすでに契約していて事故を起こして等級が下がった人が混在するため、区別して保険料を計算するためにこのような仕組みになっています。
「事故」になるのは自動車保険を使ったときだけ
ここで重要なポイントは「事故」の定義は「保険料を使った事故」に限定されるという点です。
例えば、単独事故で車に傷をつけてしまったとしても、その傷を自費で修理した場合は、自動車保険の等級には影響ありません。
あくまでも、自動車保険を使って保険金を受け取った場合のみ「事故」とみなされます。
事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類
自動車保険で「事故」扱いされるものは以下の3種類があります。
■3等級ダウン事故
「誰かをケガさせた、死亡させた」「人のモノを壊した」「自分の車を壊した」など、自分に責任があるほとんどの事故が該当します。この事故を起こして保険を使うと、翌年の等級が3等級下がります。
■1等級ダウン事故
車両保険を以下のようなことが原因の事故で使った場合は、1等級ダウン事故として扱われ、翌年の等級が1等級下がります。
・火災、爆発
・盗難
・飛び石などによる窓ガラスの破損
・落書き
・いたずらによる傷
・飛来中または落下中の物との衝突
地震は通常車両保険では補償されませんが、一部の保険会社では特約で地震に対する補償をつけることができます。
■ノーカウント事故
自分に過失がない、いわゆるもらい事故で自分がケガをした場合や、家族や自分が自動車事故以外の事故で(たとえば自転車事故)保険を使った場合は、ノーカウント事故として扱われ、翌年の等級は無事故のときと同じく1等級上がります。
人身傷害保険や搭乗者傷害保険のみを使った場合が該当します。
事故有係数適用期間があると保険料が高くなる
7等級以上には「事故有」と「無事故」の2つの割引率が設定されています。
一度でも自動車保険を使った事故を起こすと最低3年間「事故有」の割引率が適用され、「無事故」の人と比べると保険料が高くなります。
このような「事故有」の割引率が適用される期間を「事故有係数適用期間」といいます。
2012年以降に各社で順次導入されたもので、現在ではほとんどの保険会社・共済で導入されていると思います。
事故有係数適用期間は、3等級ダウン事故では3年、1等級ダウン事故では1年になります。
たとえば、3等級ダウン事故に合って保険金を請求すると、翌年から3年間は「事故有」の等級が適用されます。
事故有係数適用期間は、1年間保険を使わなければ1年減るので、無事故のまま3年間経過すると、4年目に事故有係数適用期間が「0年」になり、「無事故」の等級に戻ります。
事故有係数適用期間は最大「6年」まで適用されるので、3等級ダウン事故に2年連続であった場合は、その後事故前と同じ等級に戻るには、6年間無事故を継続しなければなりません。
「ノンフリート」は契約の種類
自動車保険の等級は、正式には「ノンフリート等級」といいます。
「ノンフリート」とは、契約に関する言葉で、契約者が所有、または使用する自動車の総台数が9台以下の契約を「ノンフリート契約」、10台以上の契約を「フリート契約」と言います。
個人の方で10台も車を所有する人はほとんどいないので、基本的に個人向けの任意保険は「ノンフリート契約」の保険になっています。
この「ノンフリート契約」の自動車保険(任意保険)に使われる等級なので「ノンフリート等級」という名称なのですが、通常は「等級」といえば「ノンフリート等級」を指します。
等級と保険料の関係
等級と割引率の関係の一例を以下に示します。事故有係数がある場合とない場合では10~20%程度の差があります。
また、無事故の場合、最大割引率は20等級の63%ですが、22等級まで設定されている全労済のマイカー共済では最大割引率が64%となっています。
割増率、割引率の変化(一覧表)
損害保険料率算出機構が2011年に算出し、現在まで用いられている等級係数の表はこちらです。
等級 | 事故あり | 無事故 |
---|---|---|
20等級 | ▲44% | ▲63% |
19等級 | ▲42% | ▲55% |
18等級 | ▲40% | ▲54% |
17等級 | ▲38% | ▲53% |
16等級 | ▲36% | ▲52% |
15等級 | ▲33% | ▲51% |
14等級 | ▲31% | ▲50% |
13等級 | ▲29% | ▲49% |
12等級 | ▲27% | ▲48% |
11等級 | ▲25% | ▲47% |
10等級 | ▲23% | ▲45% |
9等級 | ▲22% | ▲43% |
8等級 | ▲21% | ▲40% |
7等級 | ▲20% | ▲30% |
6等級 | ▲19% | |
5等級 | ▲13% | |
4等級 | ▲2% | |
3等級 | +12%(割増) | |
2等級 | +28%(割増) | |
1等級 | +64%(割増) |
等級が変わると保険料がどう変わるか
それでは、事故を起こしたときの等級と割引率の変化を具体例で見てみます。
・事故歴:なし
・等級:12等級(無事故)割引率 48%
車同士の衝突事故を起こし、相手の運転手と車に損害を与えて賠償責任が生じた
適用される保険:対人賠償保険、対物賠償保険
→3等級ダウン事故が適用されます
年度 | 等級 | 事故有係数 | 割引率 |
---|---|---|---|
翌年 | 9等級(3等級ダウン) | あり | 22% |
2年目 | 10等級(1等級アップ) | あり | 23% |
3年目 | 11等級(1等級アップ) | あり | 25% |
4年目 | 12等級(1等級アップ) | なし | 48% |
比較のため、事故を起こさなかった場合の保険料の変化も見ると以下のようになります。
年度 | 等級 | 事故有係数 | 割引率 |
---|---|---|---|
翌年 | 13等級(1等級アップ) | なし | 49% |
2年目 | 14等級(1等級アップ) | なし | 50% |
3年目 | 15等級(1等級アップ) | なし | 51% |
4年目 | 16等級(1等級アップ) | なし | 52% |
まとめ
- 自動車保険は20段階(一部の共済は22段階)の等級で保険料が決まります。
- 事故には「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類があります。
- 事故で保険を使うと等級が下がり、事故有係数適用期間中は保険料が高くなります。