ネット自動車保険業界の首位を独走しているのがソニー損保です。
大量のテレビCMでその名を聞かない日はないと思えるほどですし、自動車保険を契約していない人でもCMを覚えている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、そんなソニー損保から先週発表されたプレスリリースの紹介と合わせて、ネット自動車業界の現状についてまとめます。
もくじ
5月10日発表のプレスリリースの内容
ソニー損保が5月10日発表のプレスリリースでは、主力商品の自動車保険の保有契約件数が、2019年3月末で200万件を突破したことが明らかにされました。
1999年9月に営業を開始したソニー損保は、外資系のアメリカンホームとチューリッヒの2強だった通販型(ダイレクト型)の自動車保険市場のなかで、「保険料は走る分だけ」のリスク細分化自動車保険を販売して急速にシェアを伸ばします。
2002年には早くも国内市場で首位に立ち、以降16年連続でナンバー1の地位を確保しています。
そして、今年でちょうど20周年という節目の年に、200万件を達成したことが発表されました。業界2位のアクサダイレクトの保有契約件数が2018年3月に105万件ですので、大きく差をつけている状況です。
自動車保険業界におけるネット自動車保険の位置づけとは
ここまで見ると、ソニー損保の200万件という数字がとても大きいもののように思われるのですが、自動車保険業界全体ではどうなっているでしょうか。
自動車保険市場におけるネット自動車保険のシェアは?
下のグラフは自動車保険市場全体のシェアの推移を1997年から2017年まで示したものです。
(出典:ソニー損保のプレスリリースからの引用)
左軸および棒グラフは自動車保険市場(損害保険会社全社の自動車保険の総元受正味保険料)を、折れ線グラフ(%)はネット自動車保険会社9社合計のシェアを表します。
折れ線グラフは右肩上がりで推移しており、ネット自動車保険のシェアが確実に上昇していることを示しています。
ただし、2017年時点でも市場全体に占めるネット自動車保険合計のシェアは10%にも達していません。
ちなみにメガ損保の一社、東京海上日動の自動車保険の契約保有件数は2017年で約1,449万件です。ソニー損保と比べると7倍以上の保有件数です。
したがって、ネット自動車保険が伸びているといっても、市場全体で見ればまだまだこれからという状況です。
ネット自動車保険各社の売り上げ比較
また、ネット自動車保険業界においても、すべての会社が順調に業績を伸ばしているわけではありません。以下のグラフはネット自動車保険9社の売上(元受正味保険料)の推移を示したものです。
(出典:ソニー損保作成のグラフに管理人が加筆したもの)
保険自由化当初はチューリッヒと首位争いをしていたアメリカンホームダイレクトは、現在では自動車保険の扱いを終了して日本市場から撤退してしまいました。
また、国内勢では三井ダイレクトがソニー損保に次ぐ歴史を持ちますが、2009年以降伸びは鈍化しており、後発のSBI損保、イーデザイン損保、セゾン自動車火災(おとなの自動車保険)などの猛追を受けています。
ネット自動車保険の評価に対する考え方
昨今のインターネットで実施される顧客満足度調査では、事故対応に関しても、ダイレクト自動車保険会社が高い評価を受けています。
しかし、ネット自動車保険を契約している人は自動車保険契約者全体の1割程度であることがわかっています。
さらにインターネットによる調査に答えられる人は、ネットを通した契約が苦にならない、インターネットに詳しい人のほうが多いことが考えられます。
したがって、このような調査については回答者層に偏りがあるかも、と思いながら結果を見たほうが客観的に判断できるのではないかと思います。
まとめ
- ソニー損保の契約保有件数が200万件を突破、ダイレクト保険業界では断トツのナンバー1です。
- 自動車保険業界全体におけるダイレクト保険会社全体のシェアは1割にも満たない程度です。
- インターネット上の各種調査に関しては、代理店型とネット型のシェアの違いを踏まえて結果を見たほうが良いと思われます。