先日車を買い替えたら、事故を起こしたわけでもないのに保険料が上がってびっくりした。等級は変わらないし契約内容も変えていないのに、車を入れ替えただけでなぜ保険料が高くなるのだろう。
という思いをしたことがある方の疑問にお答えします。
もくじ
型式別料率クラスとは
任意保険では、同じ等級、同じ補償内容でも、乗っている車種の違いだけで保険料に違いが出ます。
その理由は、保険料を計算するための基準として「型式別料率クラス」が車の種類ごとに設定されているからです。
型式とは
「型式別料率クラス」の「型式(かたしき)」は、道路運送車両法にもとづいて、構造や装置、性能が同じ自動車をひとつにまとめて分類するために国土交通大臣によって与えられる記号です。
自動車検査証(車検証)の「型式」欄に、アルファベットや数字の組み合わせで記載されている文字列が型式です。車検証には「ABC-DEF」のような形で記載されますが、自動車保険では「‐(ハイフン)」の右側(この例ではDEF)を型式として使用します。
「‐(ハイフン)」の左側にあるアルファベットは、排出ガス規制適合の識別記号を表していますが、自動車保険の型式では、この部分は除いたものとします。
型式別料率クラスとは
「型式別料率クラス」は車を使う目的(業務用、自家用、乗用、貨物用など)や車の種類(普通、小型、軽)などの違いによって、事故の発生頻度や被害の程度に差が出ることを踏まえて、保険料計算の料率区分を車の種類ごとのリスクに応じて9つのクラスに分類したものです。
型式別料率クラスは毎年見直されます。最新の事故発生状況を保険料に反映することで、契約者の負担をより適正かつ公平にするためです。
見直しの際には、事故の少ない型式は低いクラスへ、事故の多い型式は高いクラスへと変更されます。新しく発売された型式は、過去の実績がないため、排気量などに基づいてクラスが決定されます。
では、車の型式ごとに決められている料率クラスは、すべての車に適用されているかというと、実はそうではありません。
用途車種が「自家用普通乗用車」と「自家用小型乗用車」の自動車だけに適用されていて、今は普通乗用車よりも販売台数が多い「軽自動車」では、メーカーや車種の違いは問わず「自家用軽四輪乗用車」などの分類ごとに一定の料率が設定されています。
自家用乗用車は台数も多く、セダンからハッチバック、クーペなどのボディタイプや排気量、駆動形式など、さまざまな形状や構造・性能の自動車が存在するため、型式別料率クラスが適用されていましたが、今後は「自家用軽四輪自動車」についても、型式別料率クラスの仕組みが適用される予定になっています。
料率クラスと保険料
型式別料率クラスには「車両保険」「対人賠償保険」「対物賠償保険」「傷害保険(人身傷害保険・搭乗者傷害保険)」の4項目が設定され、それぞれ1〜9の9段階に区分されています。型式別料率クラスの数値が大きければ大きいほど、保険料が高くなります。
ご自身の車の料率クラスは、保険証券や、証券なしの契約の場合はオンライン上のマイページなど契約内容を確認できるページで、以下のような記載から確認できます。
この例では毎年の料率クラスの見直しで、アイシスの対人クラスが5から6に変わったことがわかります。この場合、契約内容が何も変わらなくても保険料が上昇してしまいます。
保険証券などには「対人クラス3・対物クラス4・傷害クラス4・車両クラス3」のように記載されています。
この数値はたくさん売れている車種だから高くなるわけではなく、保険を使う率が高かった車種が高く設定されます。
下記は車両保険が高いことで知られる、トヨタランドクルーザーの最新モデルの料率クラス一覧です。
車両保険のクラスが最高の9に設定されています。ランドクルーザーは海外でも人気車であるため盗難被害にあう率が非常に高くなっていることから、このような設定になっています。
ご自身の車だけでなく、購入を検討している車の料率クラスを確認したいときは、損害保険料率算出機構の下記ページで、全車種の料率クラスを確認できます。
↓
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/automobile/vehicle_model/
2020年からは料率クラスが17段階、軽自動車にも導入開始
2020年1月1日からは、型式別料率クラスが現行の9クラスから17クラスに倍増し、自家用軽四輪自動車についても3クラスの型式別料率クラスが導入されることが決まっています。
現行クラスと新クラスの対応は下表のとおりです。
現行のクラス1とクラス9の保険料率の較差は約4.3倍に設定されていますが、新しいクラスではクラス1とクラス17の較差が約4.3倍に設定されているため、改定後も最低と最高のクラスの差は変わりません。
この変更は、自動ブレーキなどの先進安全自動車(ASV)技術に対するリスク評価を、保険料により適切に反映できるように料率区分を細分化することを目的としています。
まとめ
- 型式別料率クラスは、保険料算出の根拠となっており、事故率に応じた公平な保険料負担とするため、毎年見直されます。
- 料率クラスが設定されているのは「車両保険」「対人賠償保険」「対物賠償保険」「傷害保険(人身傷害保険・搭乗者傷害保険)」の4つの保険です。
- クラスが高くなればなるほど、保険料は高くなります。