自動車保険の保険料、年間に直すとそれなりの金額になるので、保険料控除の対象になるなら確定申告のときに申告できるといいな。でも、火災保険や生命保険は年末に証明書が届いても自動車保険はないからやっぱり無理なのかな・・・
という、確定申告でお悩みの方のそのような疑問にお答えします。
もくじ
車の保険は保険料控除の対象外です
先に結論を書いてしまうと、現在の税制では、車の保険(自賠責保険、任意保険)は保険料控除の対象外になっています。
車の保険は保険料控除の対象外
30代後半くらいの方からはご存知かもしれませんが、車に関連する保険、つまり自賠責保険と任意保険はかつてはどちらも損害保険料控除の対象でした。
ところが、平成18年の税制改正を経て、平成19年度からは損害保険料控除が廃止されてしまいました。代わりに地震保険料控除が新設されましたが、このときに車に関する保険は保険料控除の対象から外されてしまいました。
したがって、現在は年末調整や確定申告の対象ではありません。事業用の車であっても、同様に控除することはできません。
事業目的で使用されている車の保険は経費で計上できる
ということで、車に関する保険の保険料については、残念ながら確定申告や年末調整のときに、保険料控除としては申請できません。
しかし、事業目的で使用されている車の場合は「保険料控除」ではなく「経費」として計上することができます。
■事業専用の車の場合
事業専用車にかけられている保険(自賠責保険、任意保険)は勘定科目「損害保険料」または「車両費」のどちらかで仕訳して、全額を経費で計上することができます。
■自家用車を事業用と兼用している場合
自家用車を事業用としても使用している場合は、1年のうちどのくらいの割合で事業用として使用しているかによって、経費として計上できる金額が変わります。
例えば、1年のうち概ね半分程度事業用に使用している場合は、事業用と家庭用の割合を1:1と考えて、計上する経費は保険料の50%ということになります。
このように「事業で使用する割合」の基準を出して割り当てることを「按分」といいます。
自賠責保険と任意保険の計上方法は異なる
上記の通り、事業車用の保険は経費計上できますが、自賠責保険と任意保険では経費計上の方法が異なるので以下の点に注意して申告してください。
■自賠責保険
自賠責保険は、新車購入時や車検時に複数年分をまとめて支払うことになっています。通常の経費計上のやり方なら、そのような場合はたとえ2年分の契約であっても、そのうちの1年分を計算してそれぞれの年の確定申告で計上します。
しかし、自賠責保険は例外的に支払った年に全額を経費として計上してもよいことになっています。これは、自賠責保険への加入は法律で義務付けられていることが理由とされています。
■任意保険
契約期間が1年以上の任意保険の保険料を申告する場合は「期間按分」をして、その年の分の保険料を算出した金額を申告することが必要です。
たとえば、4月はじまりの1年契約だった場合、その年に確定申告できる保険料は、4~12月までの9ヶ月を期間按分して算出したものになります。
まとめ
- 昔は自動車に関する保険も損害保険料控除の申請対象でした。今は残念ながら対象外です。
- 事業目的で使用されている車の保険は確定申告時に経費として計上できますが、処理に迷う場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。